ネオンに照らされ、お客で賑わうこのカジノ場は、一攫千金狙いでやってくる客。
ただの娯楽である人。
ハマッテ借金のある人。
多々多数の人が訪れるそんなカジノ場の一角で僕はディーラーをしている。
僕の腕は、まだまだで、ワンプレイヤー(お客さん)とのゲームしか出来ていない。
僕は、無意識のうちに先輩のいるテーブルを見ていた。
先輩は、複数のプレイヤー(4人席)とゲームをしている。
いつか僕も・・・
そう思い見ていたら、先輩がタバコに火をつけるのが目に入ってきた。
ディーラーは、お客の同意で、吸っていいときがあるが、同意を求めているそぶりは無かった・・。
僕は、無意識のうちに先輩の傍に近付いていた。
「先輩・・・」
そう呟いたか呟かないうちに、プレイヤーは去っていっていた。
「仕事は終わったからな」
そう言い、タバコの煙を吐いた。
タバコを持つ手が小刻みに震えている。
よく見れば、先輩の額が汗で光っていた。
別にここは暑くも無い・・どちらかというと少し寒いくらいだ。
僕は、先輩を外れに当たる通路に連れ出した。
「先輩どうしたんですか?」
「あ、ああ、ちょっとな」
そう言うとまた、タバコの煙を吸い込み吐いた。
「ちょっとって・・・」
「風邪がちょっと酷くなってな。」
しゃべってるのだけでも辛そうだ。
一体どのくらいの熱があるのだろう?
「ふう~、おまえあそこやれ」
先輩の指差す先は、さっきのテーブルだった。
「な、え?」
「お前もそろそろ、あのテーブルについてもいい頃だろう」
慌てふためいていると、先輩がきつそうに立ち上がり僕の肩に手を置き言った。
僕は先輩に即され、渋々テーブルに付いた。
そして先輩は、プレイヤーの席についてさっきまで吸っていたタバコを消し上着から新しいタバコを取り出し火をつけた。
「どうした?カードを配れよ」
僕は、複雑な気分でカードを配った。
すると、そのカードに即されるように新しいプレイヤーも席に着く。
僕は、そこにもカードを配った。
「インシュランス(保険)」
女だが低音で静かにそう言った。
インシュランス・・・思わず自分のカードを見た。
Aだ・・・。
ジーンと感動してる場合じゃないや!!
早速、他の人たちにも聞いていった。
殆どの人がインシュランスをしたが、先輩はしなかった。
その後、そっと自分の手札を見る。
8・・・まずまずだ♪
「違います。チップを取らさせていただきます。」
あ~初めて言った~~~
ちょっぴり感動しながら、プレイヤーが保険としたチップを回収していく。
そして、いつも通り、カードがいるかを聞いていく。
いつもと違うのは、人数が多いこと・・・
カードを配り終えて、自分のカードをオープンする。
そして、チップを払っていくし、回収もする。
その後、何回ゲームしたのかわからない。
先輩は、勝ち続けた。
「せんぱ~~~い」
プレイヤーがいなくなって、僕は先輩に言った。
「あ~久々にプレイヤーってんのもいいな」
先輩は、僕の嘆きなど聞く耳も持たないような感じでそっぽを向いた。
「なんで、なんで、先輩ばかり勝つんですか~?」
「プロだから☆」
か、かこいいっすけど、なんか虚しいと言うか・・・
「ところで、先輩熱は?」
「だいぶ収まってきたし、次休憩か?寝れば治るだろう・・・」
な、なんか心配して損した気が・・・
ネオンの明かりが朝日で照らされる頃。
カジノは、一時店を閉める。
閉めないところもあるけど・・・大体は閉まる。
僕は、朝日を見ながらはめられたのかどうかを考えていた。
ネオン輝くとき、皆様の娯楽へとご案内いたします。
コメント