ある日の昼下がり、俺は何もすることなく家でごろごろしていた。

「鼎(かなえ)~、もうまた寝ているの?」

この不況のさなかなかなか職も見つからず、俺はただ家でごろごろするばかり、そんな嫌な日々を過ごしていた俺はそのまま眠りに付いた。

「・…か。」

遠くで声が聞こえる。

「陛下」

目が覚めるとそこには見たこともない…いや、記憶の中ではどこかで・…

「陛下、お目覚めですか?」

そこには老いた爺がいた。

服装はそう・…中国の・…。

「さあ、お召し物をお代え下さい。」

「え?」

すると、女中達が出てきて俺の服を変えてくれる。

これも悪くはないな♪

着替えると玉座に座らされた。

どうせこんなのは夢だろう♪

そう思い俺は、酒池肉林をしてやろうと思い立ち

「酒だ!女だ!」

「は?しかし…」

何かをしぶる爺に俺は足蹴にしつつも行かせた。

来たものは・……ただのご飯に毛が生えたのと酒は飲むと「うぇ」と叫びたくなるものだった。

残る楽しみは女だけ…。

すると出てきたのは…個性的な女性ばかり…。

「………おい、爺」

「はい、なんで御座いましょう?」

「俺は町に行く」

「え?そんなことは…」

「行くったら行く!!」

さすがに町に行けば美女がいるだろう。

爺はため息を付き。

「分かりました、しかし護衛はお付け下さい。」

「まぁ、護衛くらいは…」

そうして連れてこられた護衛は女でしかも結構かわいい。

なんだ、いるじゃんかわいい子♪

よし、この子とデートだ♪

そんな淡い気持ちで町に行くと、誰一人通らず、家の壁には風化の後がある。

「なぁ?まだなのか町はぁ?」

「いえ、ここが町ですが?」

「だって、店の一つも…」

「店ですか?もうすぐ一件目が…」

そう言われた一件目は米屋だった。

「米屋を見てもな~」

「もう少し先に行けば酒屋が…」

これじゃあ、デートって雰囲気がでねぇ~

「酷いものでしょう。路地に行けば子供達が地べたで暮らしているのです。」

その言葉に吃驚して彼女の後ろの方を見るとかすかに子供がいる。

「それが当たり前の時代なんですよ。貧富の差は増すばかりこれも…」

その先を言われなくてもわかる何かがあった。

「帰るぞ!」

「え?はい。」

俺は走って戻った。

「爺、爺はいるか!」

「はい、陛下。何か?」

「食料はどのくらいある?」

「しょ、食料ですか?」

「保存であるだろう?」

「倉庫には、そうですね~二部屋分ほど…」

「その一部屋をご飯も食べれない人たちに上げるんだ。」

「しかし、それでは!!」

「分かっている。その後、田んぼを作るために働くものに食事を出していく。」

「・…」

「な~に、一年くらいこの国の者を食わせて行けるだろう?それまでには、収穫の時期になるさ」

「陛下・・…熱でも?」

「いや、無いって・・」

それからは目まぐるしく忙しかった。

現場に足を運んで色々指示を出しつつもここで行われる行事ごとをなるべく金をかけずにどうやるかなどを検討したりと…

「陛下…まだ起きられていらしたのですか?」

そう、護衛の彼女は言う。

「ああ、これを終わらせたら寝るよ」

「そうですか…お体を壊されてはもともこもありませんよ」

「わかっている。有難う」

頭がクラーと来た。

「疲れたかな?」

「陛下~収穫の時期ですぞ!」

「ああ、」

立ち上がった瞬間にクラッと来て俺は倒れた。

「陛下!!」

「鼎!」

目覚めるとそこには、両親の姿があった。

俺はかなりの時間昏睡状態だったらしい。

あの世界は夢だったのか?

俺にはあの国での出来事は大きかった気がする。

「働かぬものは食うべからず」を俺は今実施しているし、バイトで汗水たらして働いていた。

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