窓を見れば、ビルを見下ろせるくらいの高さがある。
最初は、恐怖心があったが今では、見慣れたものだ。
この会社に入れるって時には、かなり胸が躍った。
そして、何事もなく僕は、老いるはずだった。
秘書を勤めている僕は、通常業務を行っていた。
ジリィィィィィィ
警報ベルが鳴るのが聞こえた。
「なんだ?なにがあったんだ?おい、誰か見て来い!」
そう命令する声を聞き、スクッと立ち上がり様子を見に出掛けた。
社長室の前を通り過ぎようとしたときだった。
「・・・・な、なんなんだね?君は?」
「ここの社長さんですか?」
誰だ?秘書を通さずに話してる人は?
ドアが少し開いていたので隙間から覗いた。
社長がごそごそしている・・・・すると、シュンっと風を切る音がして
男の背が社長の方に向かい、男の下から吹き上げるもの・・・・。
・・・・赤い・・・・・血!!!
ドキューーーーン
そのとき、何が起こったのかわからなかった。
銃声らしい音を聞きつけ、同僚やらが駆けつける。
僕も我に返り、ドアを開け「社長!!」と叫んでいた。
男は、社長の椅子を持ち上げ・・・・・投げた。
パリーンと音を立てて割れる。
な、まさか?
高層ビルでは、吹き付ける風に対して耐久性のあるガラスを使用していた。
だから、椅子ごときで割れるはずが無い。
すると、男は、躊躇せずビルから落ちた。
!!!!?????
僕達は、その男を止めることも駆け寄ることも出来ずにボー然としていた。
すると、大きな揺れを感じる。
ガクッと膝が折れる。
な・・・何が起こったのか?
そう考える間もなく、重力を感じる。
誰かが叫んだのが聞こえた。
トラックに乗ったオレは、疲れを感じたのか眠っていた。
気付けば、病院のようだ。
「お兄ちゃん、遊ぼう」
病院の待ち椅子に横になっていたところに、子供が寄って来ていた。
「オレは・・・・」
遊べないと言いかけたとき、激痛を感じた。
「な、なにを・・・」
子供は、オレの腕に噛み付いていた。
オレは、その子供を振り払った。
血を舐めつつクスクスと喜んでいた。
「な、なんだ・・・」
そう呟いたとき。
『この子供らは、人間を喰らうんですよ』
楽しげに放送で言うこの声は、あいつだ。
『さあ、あなたは幼少のものでも殺すことは可能なのですかね~』
喜びに満ちた声が当たり一面に響いていた。
気付けば、さっきの子供のほかにもわらわらと群がっていた。
「お兄ちゃん~~~お腹すいたよ~」
一斉に向かってくる。
オレは、懐の包丁を抜いて近付いた餓鬼どもを蹴散らしていった。
それに、こぼれた餓鬼がオレの腕や足を噛んだりしていた。
数が多過ぎた。傷がうずく・・・。
『いや~、見事ですよ~。では、褒美を』
褒美?オレが喜ぶものなんて・・・
目の前の病室のカーテンが開いた。
そこには、カプセルがありその中に・・・・
・・・・・美弥?
「な、なんで?」
『美弥さんの遺体を強奪させてもらいました。』
軽やかにそういう、オレは、美弥の居る病室にゆっくりと近付く。
『我々の言う通りに殺して行って下されば、美弥さんを蘇らせて貰います。』
・・・・蘇らせる?
「は、莫迦なそんなこと・・・」
『莫迦な事ではありません。出来ますよ。・・・・・やりますか?』
「・・・・・・やる。」
美弥が・・・・生きることが出来るのなら・・・
この手で殺してしまった美弥を・・・・
このとき、自分の血の騒ぎに気付かなかった。
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