気付けば、辺りが騒々しかった。
俺は、目をこすりながら起き上がった。
ドアを開けて居る筈の同僚に声をかけようと思ったのだが、
居る筈の同僚の姿はおろか殆ど一人見当たらない。
皆で飲みにでも行ったのか?仕事をほっぽって?
やりそうな奴はいるが・・・・
頭を掻きながら、隣にあるトイレに向かうべく廊下に出ると
自分の目を疑った。
辺り一面が血・・・・・また、血・・・・
「おい、」
抱き起こした同僚は、力なく手から零れ落ちる。
「うぁぁぁあ」
自分で何を言ってるのか分からないくらいに震えていた。
蛍光灯がチラついていた。
その蛍光灯に反射した何か・・・・。
・・・・・・・・・包丁!!!!!
気付いて逃げ出そうとした瞬間何か得体の知れない気分になった。
か、身体が動かない。
自分の目の前に、警察になりかけの姿がちらついた。
おばあさんやおじいさんを案内してあげたり。
警部補に任命された時、殉職した先輩。
ああ、これがよく言われる死の直前に見る奴か・・・・。
警察署を後にしたオレの目の前で車が止まった。
高級車らしい車だ。
そこから降りてきた男達がオレの周りを囲み
「お待ちしておりました。」
!!!?
な、何を言っているのかが分からない。
そのとき背中に電流が走った。
「少し乱暴なことをお許しください。」
気付けば、石で出来たような天井が見える。
まだ、手足に痺れを感じて動けない。
「あ、気付きましたか?」
近付いてきた男は、あの時車を降りて話していた奴だ。
手に持っていた筈の包丁を探していた。
「?あ~凶器は、預からせて頂きました。」
・・・絶望だ。いや、凶器を取られない方がおかしいのだが・・。
少し動けるようになった手で勢いをつけて起き上がる。
クラ~と来たが、男に掴みかかる。
「うわぁぁぁっぁ」
男の悲鳴が聞こえる。
掴みかかっている男の声ではない。
振り返れば、ナイフを持った男とくくりつけられている男が
それぞれに叫んでいた。
「嫌だぁぁぁぁ死にたくない」
「あ、あ、うぁぁぁ」
掴んでいた手が少し緩んだ。
男は、その隙を突いてかオレの手を振り払い
服を正してオレにこう言った。
「貴方にもあれと同じことをして貰います。」
言葉の意味は理解しがたいがどうやら、殺し合いのようだ。
理性を持った男が理性を捨てるところのようだ。
オレにもして貰うって事は、オレはどっちの役なんだ?
その光景は、傍から見ていても気に食わない。
オレは、自由になった身体でナイフを持った男の手を取り
「殺せないなら殺してあげるよ。」
呟くように言ったのでその男は、ビックリしたような顔で
オレを見た。
ザシューーーーーーー
血しぶきが上がった。
首を切ったためだ。
殺される筈だった男は、その血を見て呆然としていた。
オレはそいつの首も切った。
辺りは、血しぶきで天井から壁と真っ赤になった。
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